[平成最後のブログ] たまには不動産会社らしいブログを…

投稿日時:2019/04/30

平成最後のブログになりそうなので、たまには不動産会社らしいブログを書こうと思います。

テーマは【買主は売主の瑕疵担保責任をいつまで追求できるか?】です。

[下記相談事例を基に書いていきます。]

私は、十数年以前に買った自宅を建て直そうと思い、建築設計事務所に建物の設計を依頼したところ、敷地の一部に道路位置指定があるため、希望する建物が建てられないことが分かりました。売買契約時にはそのような説明はありませんでした。今から売主に対して損害賠償の請求をすることができるでしょうか。

売主の瑕疵担保責任は買主が隠れた瑕疵を発見してから1年を経過すると消滅しますが、瑕疵の発見の有無にかかわらず売買の目的物の引渡しをうけてから10年を経過すると時効によって消滅します。
 

【売主の瑕疵担保責任】

不動産などの特定物の売買において、売買の目的物に隠れた瑕疵(一見分からないキズなど)が後日発見されることがあります。特定物の場合、物は1つしかありませんから、買主は瑕疵のない完全な物の引渡しを求めるこどができません。しかし、買主にとってみれば、そのような瑕疵があることがあらかじめ分かっていれば、代金の減額を要求したり、買うのを断念したかもしれません。そこで、民法は、買主が瑕疵を発見してから1年以内であれば、売主に対して損害賠償の請求をすることができるほか、売買の目的を達成できない場合は契約の解除を請求できるものとして、売主・買主の公平を図っています。これが売主の瑕疵担保責任です。

なお、瑕疵があるといえるためには、売買の当時、売買において予定されていた品質・性能を欠いていたことが必要です。したがって、仮換地の売買契約当時、仮換地の指定をうけた組合員に賦課金が課される抽象的危険があったとしても、それにとどまるときは、売買において予定されていた品質・性能を欠いていたとはいえないのであって、売買後に保留地の分譲が芳しくなかったことにより組合員に賦課金がかされることになったとしても、買主は売主に対して瑕疵担保責任を問うことはできないものとされました(最判平25・3・22判事2184・33)。
 

【売主の瑕疵担保責任は消滅時効にかかるか】

民法は、買主は隠れた瑕疵を発見してから1年以内にかぎって売主の瑕疵担保責任を追及できると規定しています。しかし、隠れた瑕疵が発見されないかぎり、売主はいつまでも瑕疵担保責任を負わなければならないかについては明確ではありません。

買主の側からすれば、隠れた瑕疵である以上、売買契約から何年経っていても売主の瑕疵担保責任を追及できなければ意味がないということになりますが、売主にしてみれば永久に瑕疵担保責任を追及される可能性を免れないというのは少々気の毒な話です。

そこで、最高裁判所は、「瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行すると解するのが相当である。」として、消滅時効にかかる旨の判断を示しました。この結果、買主は、売買の目的物に隠れた瑕疵があることを目的物の引渡しから10年経過した後に発見したとしても、もはや売主に対して瑕疵担保にもとづく損害賠償の請求ができないことになります。
 

《参考となる法令など》

民法570条

最判平13・11・27判時1769・53

最判平25・3・22判時2184・33

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